統合失調症とADHDは併発する?症状・原因・治療法の違いも解説
2025.05.02「統合失調症」と「ADHD」(注意欠如・多動症)は、それぞれ「精神疾患」と「発達障害」の一種であり、併発する場合もあります。
症状や原因など似ている側面もあるために、2つの違いが曖昧になっている方もいるでしょう。
この記事では、統合失調症とADHDが併発する点や、それぞれの間にある違いを解説します。
統合失調症とADHDは併発する場合もある
統合失調症とADHDには深い関わりがあります。
なぜなら、精神疾患と発達障害は併存する可能性があると示唆されており、統合失調症とADHDも例外ではないためです。
実際、海外の研究では、統合失調症の方の17%にADHDの気質がみられたと報告されています。
なお、統合失調症とADHDの症状には似ている部分もあるため、専門知識がない場合は判別が難しいケースもあります。
症状は似ているものの治療方法は異なるため、専門医から的確な診断を受けましょう。
統合失調症とADHDの違い
統合失調症とADHDの違いを、症状、原因、治療方法に分けて紹介します。
症状の違い
統合失調症とADHDの症状には、それぞれ以下のような特徴があります。
統合失調症の症状 | ADHDの症状 |
・集中力が低下する
・幻覚や幻聴が生じる ・物事への意欲が湧かなくなる ・考えがまとまらなくなる ・支離滅裂な発言をする ・事実にない出来事を妄想するようになる |
・順番を待てない
・注意力が続かない ・突発的に行動する ・常に手足を動かす ・喋り続けてしまう ・気持ちがうわのそらになる |
上記のうち、注意力が続かない点や、ぼんやりするような点などが似ています。
一方「幻覚」「幻聴」「妄想」などの症状は統合失調症特有のものであり、2つの間の大きな違いです。
参照:厚生労働省/統合失調症|こころの病気について知る
参照:厚生労働省/発達障害の理解
原因の違い
統合失調症とADHDは、どちらも「ドーパミン」が関係すると言われていますが、違いはそのメカニズムです。
少し前の研究報告によるものですが、統合失調症では脳内でドーパミンが過剰に働き、妄想や幻覚などの症状を引き起こすと報告されされています。
一方、ADHDではドーパミンが不足するために注意力が散漫になったり、反対に過集中が見られたりすると考えられています。
治療方法の違い
統合失調症の場合は、薬物療法を中心に治療を進めます。
抗精神病薬を使用し、妄想や幻覚などの精神症状を抑えるのが基本です。
また、日常生活や社会生活への復帰を目指したリハビリテーションを実施する場合もあります。
一方、ADHDでは行動療法と薬物療法を併用して治療を進めます。
物事に取り組む力を行動療法で養いつつ、薬で脳内の神経伝達物質を調整し、ADHDの症状を抑えます。
参照:MSDマニュアル/統合失調症
参照:MSDマニュアル/注意欠如多動症(ADD,ADHD)
統合失調症やADHDを疑う場合の相談先
統合失調症やADHDを疑う場合、精神科へ相談に行きましょう。
精神科では専門的な検査や診断を受けられ、統合失調症とADHDを的確に判別できます。
精神疾患も発達障害も精神科医の担当する分野であるため、どちらかの症状が見られる場合や、見分けがつかない場合は、精神科で診断を受けましょう。
統合失調症とADHDは的確な診断を受けることが重要
統合失調症とADHDは症状が似ているため、診断を受けるまではどちらが原因で日常生活に支障が出ているか、区別がつきにくいケースもあります。
また、2つの疾患が併存しているケースもあるため、症状が疑われる場合は精神科で相談しましょう。
いずれかの診断が付いた場合、訪問看護の利用も検討してみてください。
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