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フラッシュバックが起きたとき、その場でできる10の対処法

2026.06.22

突然、あの日の光景がよみがえってくる。
音、におい、誰かの声のかけら——気づいたときにはもう、体が震えていたり、息が詰まっていたり、涙が止まらなくなっていたりする。

それは、あなたが弱いからではありません。
フラッシュバックは、心が「あの痛みをもう一度整理しようとしている」サインです。あなたの体と心が、必死に自分を守ろうとしている証拠なのです。

この記事では、フラッシュバックが起きた瞬間に、その場でひとりでも試せる10の対処法をお伝えします。「使えそうだ」と思えるものから、ひとつずつ手に取ってみてください。

1. そもそもフラッシュバックとは何か

フラッシュバックとは、過去につらい体験やショックな出来事があったとき、その記憶が「今まさにそれが起きている」かのようにリアルによみがえってくる現象です。単なる「思い出す」とは違い、当時の恐怖・におい・音・体の感覚まで一気に再現されることがあります。

PTSD(心的外傷後ストレス障害)の代表的な症状のひとつで、特定の音楽、においの強さ、誰かの言い方のクセなど、小さなきっかけでも引き起こされることがあります。

心が「過去に引き戻される」のはなぜ?

フラッシュバックが起きるのは、あなたの心が弱いからでも、意志が足りないからでもありません。強すぎたショックを受けたとき、記憶の整理が追いつかず、断片化された形で脳に残ってしまうことが原因です。心が「あの出来事をなんとか理解しよう」と繰り返し取り出そうとする、それがフラッシュバックとも言えます。

フラッシュバックはあなたを責めるためのものではなく、心が必死に回復しようとしているサインです。

2. その場でできる!5つの「感覚を使う」対処法

フラッシュバックが起きると、心が過去に飛んでしまい、今この場所にいるという感覚が薄れていきます。そんなとき、五感を使って「今・ここにいる自分」を取り戻すことが、まず大切な一歩になります。心理療法の世界では、これを「グラウンディング」と呼びます。

グラウンディングで「今、ここ」に戻る

五感を使った5つの対処法

  • 👁️ 見えるものを5つ数える 目の前の机、窓の外の空、時計——今ここにあるものを声に出して、ひとつずつ数えます。
  • 🤲 触れるものを4つ感じる 椅子の固さ、服の布地、自分の手のひらの温もり——指先でゆっくりと確かめます。
  • 👂 聞こえる音を3つ意識する 遠くの車の音、エアコンのかすかな音、自分の呼吸の音——耳を澄ませて探してみます。
  • 🌿 においを2つ探す お茶の香り、外の空気のにおい——何でも構いません。深く息を吸って探してみます。
  • 👅 口の中の味を1つ意識する 水を一口飲む、ガムをかむ——口の中の感覚に意識を向けます。

この方法は「5-4-3-2-1法」とも呼ばれ、世界中のトラウマケアで活用されています。頭で考えるより、感覚に集中することで、記憶の嵐がおさまりやすくなります。

あなたは今、安全な場所にいます。
過去はもう、終わったことです。

3. こころと体を落ち着ける5つの対処法

感覚を使うグラウンディングと合わせて、体の緊張をほぐしたり、気持ちをやわらかく受け止めたりする方法も試してみてください。

一人でできる呼吸法と自分への声かけ

こころと体をほぐす5つの方法

  • 🌬️ ゆっくり息を吐く 4秒かけて鼻から吸い、7秒止めて、8秒かけて口からゆっくり吐く。呼吸を整えるだけで、体の緊張がほぐれやすくなります。
  • 🚶 その場から離れる フラッシュバックが起きた場所から、少しだけ移動します。トイレでも廊下でも、とにかく「別の場所」に体を動かすだけで気持ちが変わることがあります。
  • 💧 冷たい水で顔や手を洗う 冷たさが感覚を呼び覚まし、「今ここにいる」という感覚を取り戻す手助けをしてくれます。
  • 🤗 自分の体を両手で包む 両腕を胸の前で交差させて、自分の肩や腕をやさしく抱きしめます。体に温もりを感じることで、心が少し落ち着きやすくなります。
  • 🗣️ 自分に「大丈夫、今は安全だよ」と声をかける 声に出さなくても、心の中で自分に語りかけるだけで構いません。あなたを一番守れるのは、あなた自身の言葉です。

どれかひとつでも、少しだけ楽になれたなら、それはもう十分なことです。すべての方法が自分に合うわけではなく、それも当然のことです。合わなかった方法があっても、あなたのせいではありません。

🌈 フラッシュバックの波が来たときに心がけたいこと

「またきた」と気づいたとき、焦らなくて大丈夫です。波は必ず、引いていきます。今この瞬間、あなたの体はここにあって、安全です。「今は2025年。あの出来事はもう終わった」と、小さく自分に伝えてあげてください。

4. フラッシュバックが続くときは、ひとりで抱え込まないで

セルフケアの方法を試しながらも、フラッシュバックが繰り返されたり、日常生活に支障が出てきたりするときは、専門家のサポートを受けることを考えてみてください。それは弱さではなく、回復への大切な一歩です。

PTSDによるフラッシュバックは、精神療法や薬物療法によって症状をやわらげていくことができます。時間がかかっても、少しずつ楽になっていく方はたくさんいます。あなたにも、そういう時間が待っています。

訪問看護という選択肢

「病院に行くのが怖い」「外出するとフラッシュバックが起きやすい」という方には、訪問看護という形のサポートがあります。看護師が自宅まで来てくれるので、外に出なくてもケアを受けられます。

症状の整理、日常生活のサポート、呼吸法やグラウンディングの一緒の練習など、あなたのペースに合わせた関わりができるのが訪問看護の強みです。

訪問看護でできること

  • 🌱 フラッシュバックのきっかけや状況を一緒に整理する
  • ☀️ 呼吸法・グラウンディングを実際に一緒に練習する
  • 🌿 服薬管理や生活リズムのサポート
  • 🌧️ つらいときにいつでも相談できる存在として寄り添う

まとめ

フラッシュバックはとても苦しく、「また来てしまった」という恐怖や疲れを感じることもあります。でも、あなたはその波を何度もくぐり抜けてここまで来た、それだけで十分に強い人です。

今日紹介した10の対処法を、手の届くところに置いておいてください。合うものも、合わないものもあっていい。試せる日も、試せない日もあっていい。あなたのペースで、少しずつで大丈夫です。

訪問看護ステーションリスタでは、精神科に特化した看護師が在籍し、一人ひとりの状況に合わせたケアや支援を行っています。少しでも気がかりなことや不安があれば、いつでもお声がけください。

📚 参考資料

  • PTSD(心的外傷後ストレス障害)について(国立精神・神経医療研究センター こころの情報サイト)詳細はこちら
  • PTSDとは(国立精神・神経医療研究センター CPTプログラム)詳細はこちら
  • PTSDの薬物療法・心理療法ガイドライン(厚生労働省 ストレス・災害時こころの情報支援センター)詳細はこちら
  • 複雑性PTSD治療の研究(国立精神・神経医療研究センター、2022年)詳細はこちら

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