愛着障害とASD(自閉スペクトラム症)の違いとは?特徴や相談先を解説
2025.05.23愛着障害とASD(自閉スペクトラム症:以下ASDと表記)では、いずれも人間関係に支障が生じますが、原因や特徴に違いがあります。
適切な関わり方や支援を行うには、それぞれの特徴を理解するのがポイントです。
この記事では、愛着障害とASDの特徴や支援方法の違いを解説します。
愛着障害とASDの特徴の違い
愛着障害とASDは、いずれも人間関係に問題が生じる障害ですが、特徴や症状などさまざまな違いがあります。
それぞれ詳しく見ていきましょう。
愛着障害は後天性の障害
愛着障害は、幼少期に愛着を形成できなかったために問題が生じている状態です。
成長の過程で、親や養育者に対する安心感や信頼関係を持てずに過ごしたために、人間関係の構築が苦手になると考えられています。
愛着障害には「三大特徴」とされるものがあります。
特徴 | 詳細 |
愛着欲求行動 | ・注目されようとしてわざとらしくアピールする
・相手に自分への愛情を試すような行動をとる |
自己防衛 | ・不適切な行動への指摘を認めない
・自分ではなく相手が悪いと主張する ・追及され続けると精神不安定になる |
自己肯定感の低さ | ・自分に自信がない
・人に物をあげようとする ・相手のできていないところを指摘する |
これらの特徴を持つために、学校の友人や職場の同僚、恋人や配偶者との距離感が調整できなくなり、社会生活に支障が出る場合があります。
ASDは先天性の「発達障害」
ASDは「自閉スペクトラム症」とも呼ばれる発達障害の一種です。
先天性の脳の障害であり、特徴的な行動や考え方が見られたり、人間関係の構築に支障が出たりします。
ASDの人には、以下のような特徴が見られます。
・興味や関心の方向に偏りがある
・相手の気持ちを読み取れない
・金銭感覚がおおざっぱ(または異常に厳しい)
・オープンな質問が苦手
・一度に複数のことを行うのが苦手
・変化や予想外の出来事があると不安になる
ASDの人は他人の気持ちを理解しにくい特性があり、人間関係に苦労する場合があります。
また、選択肢がない質問に対し自由に回答するのが苦手であり、コミュニケーションがうまくとれないこともあるため、関わり方に配慮することが重要です。
愛着障害とASDに対する支援の違い
愛着障害とASDは原因が異なるため、支援の方法にも違いがあります。
この章では、愛着障害とASDに対する支援を詳しく見ていきましょう。
愛着障害に必要なのは「愛着形成」
愛着障害の克服を目指す場合、幼少期に得られなかった「愛着形成」がポイントになります。
愛着を形成し人との適切な距離感を身に付けるには、つらいことがあった場合に相談できるキーパーソンの存在が重要です。
安全基地の支援を受けながら、自立して人間関係を構築できるよう、コミュニケーションの方法を身に付けることが大切です。
関連記事:大人の愛着障害は治らない?愛着形成のやり直しについて解説
ASDは治療と環境整備を行う
ASDの特性があり生活に困難をきたしている場合、薬物療法や精神療法などの治療を行います。
専門医による診断と、個別の症状に合わせた治療により、ASDの特性とうまく付き合う生活スタイルを習得できます。
また、自宅や学校、職場などを生活しやすい過ごしやすい環境に調整するのもポイントです。
家庭環境はもちろん、教師や職場の上司・同僚に相談し、特性を活かして生活できる環境を調整しましょう。
参照:厚生労働省/発達障害の特性(代表例)
参照:MSDマニュアル/自閉スペクトラム症
愛着障害とASDの相談先
愛着障害やASDに悩んだ場合、まずは精神科医に相談しましょう。
愛着障害とASDの克服には、医師による診断と治療を受け、適切な関わり方や生活スタイルを理解するのが重要です。
また、訪問看護を利用して支援を受けるのも手段の1つです。
訪問看護では、愛着障害でキーパーソンがいない場合やASDで生活環境に悩んでいる場合に個別のサポートを受けられます。
人との関わり方に悩んでいる方は、訪問看護の利用を検討してみてください。
愛着障害とASDを疑うなら精神科で診断を受けよう
愛着障害とASDには原因や特徴に違いがある一方、人間関係が苦手な共通点もあります。
関わり方や支援に悩む場合は、早めに精神科で診断を受け、治療を開始しましょう。
『訪問看護ステーションリスタ』では、愛着障害やASDの方へサポートを提供しています。
興味のある方は『こちら』からお問い合わせください。