
赤ちゃんが寝ているとき、突然「びくっ」と両手を広げて、何かにしがみつくような動きをすることはありませんか?
初めてその様子を見たパパやママは、「どこか具合が悪いの?」「何かに驚いたの?」と不安になるかもしれません。
しかし、これは「モロー反射」と呼ばれる、赤ちゃんの健やかな成長に欠かせない原始反射のひとつです。
この記事では、モロー反射が起こる仕組みや、いつからいつまで続くのかといった時期の目安、そして「反射で起きてしまう」ときの対策や、注意が必要なケースについて詳しく解説します。
1. モロー反射とは?赤ちゃんが「びくっ」とする驚きの正体

モロー反射とは、生まれたばかりの赤ちゃんに見られる「不随意運動(自分の意思とは関係なく起こる動き)」です。
19世紀の小児科医エルンスト・モローによって発見されたため、その名がつきました。
脳が未発達ゆえの「生存本能」
赤ちゃんは、まだ脳の「大脳皮質」という部分が十分に発達していません。そのため、外部からの刺激に対して脳が過剰に反応し、反射的に体が動いてしまいます。
これは、野生の時代に赤ちゃんが母親から振り落とされないよう、しがみつこうとした名残(生存本能)であるという説もあります。
具体的にどんな動き?
モロー反射は、主に以下の2段階の動きで見られます。
①「ひらく」: 突然、両腕と両脚を左右にピンと広げる。
②「抱きつく」: 広げた腕を、ゆっくりと胸の前で抱きかかえるように戻す。
このとき、指が「C」の字のようになったり、驚いて泣き出したりすることもありますが、これらはすべて正常な反応です。
2. モロー反射はいつからいつまで?成長のタイムスケジュール
モロー反射は、赤ちゃんの神経系が順調に発達しているかどうかを確認するための大切な指標(羅針盤)です。
◆ 期間の目安
| 時期 | 状態 |
| 新生児期(生後0〜1ヶ月) | 最も活発に見られます。少しの音や光でも反応します。 |
| 生後2〜3ヶ月頃 | 徐々に頻度が減り、動きが小さくなってきます。 |
| 生後4〜6ヶ月頃 | 脳の発達に伴い、自然に消失(消退)します。 |
なぜ消えるのか?
脳が成長し、自分の意思で体を動かす「随意運動」ができるようになると、原始的な反射は必要なくなるため、自然に消えていきます。
反射が消えることは、「脳が次の発達段階へ進んだ証」なのです。
モロー反射で寝ない!「背中スイッチ」への対策

多くの親御さんを悩ませるのが、「モロー反射のせいで赤ちゃんが起きてしまう」という問題です。
いわゆる「背中スイッチ」の一因とも言われています。
なぜ寝ているときに起こるのか?
赤ちゃんは睡眠中も脳が活発に動いており、わずかな振動や温度変化、あるいは自分の夢(脳の刺激)に反応してモロー反射が起きてしまいます。
自分の手の動きに驚いて起きてしまうのは、赤ちゃんにとっても少し災難なことですよね。
効果的な3つの対策
① おくるみ(スワドル)で包む
最も効果的とされるのが、おくるみで赤ちゃんの体を優しく包んであげることです。
効果: 手足の自由を適度に制限することで、反射が起きても自分の動きで目が覚めるのを防ぎます。
注意点: 股関節をきつく締め付けすぎないこと、また寝返りを始めたら使用を控えることが安全上のルールです。
② 静かな環境と「包囲感」を作る
環境: ドアの閉まる音や足音に敏感な場合は、ホワイトノイズ(換気扇の音のような一定の雑音)を流すと、突発的な音をかき消してくれます。
寝かせ方: 布団に置く際、背中を丸めた姿勢をキープしたまま、お尻からゆっくり着地させるとスイッチが入りにくくなります。
③ 密着して寝かせる
腕の中から布団へ移動させる際、ママやパパの体温が離れることで不安を感じ、反射が出ることがあります。布団に置いた後もしばらく手を添えて、体温を感じさせてあげましょう。
4. 要注意?相談すべきケースと「点頭てんかん」との違い
モロー反射自体は正常なものですが、稀に注意が必要なサインである場合があります。
左右差がある場合
反射が「右腕だけ出る」「左腕は動かない」といった左右差がある場合、鎖骨の骨折や、腕を動かす神経の損傷(分娩麻痺など)の可能性が考えられます。1ヶ月健診などで医師に相談しましょう。
6ヶ月を過ぎても消失しない場合
生後半年を過ぎても強いモロー反射が続く場合は、神経系の発達に遅れがないか、専門医による確認が必要になることがあります。
混同しやすい「点頭てんかん(ウエスト症候群)」
最も注意したいのが、モロー反射によく似た「点頭てんかん」という病気です。
| 特徴 | モロー反射 | 点頭てんかん(ウエスト症候群) |
| 原因 | 音や振動などの外部刺激 | 脳の異常放電(刺激がなくても起こる) |
| 動き | 手足を広げてゆっくり戻す | 数秒おきに頭をカクンと下げる、腕を突き出す |
| 回数 | 単発で起こることが多い | シリーズ形成(5〜10秒おきに繰り返す) |
| 時期 | 生後4ヶ月頃には減る | 生後3〜11ヶ月頃に発症しやすい |
もし、赤ちゃんが「無表情で、何度も同じ動きを繰り返す」「以前できていた首すわりができなくなった」といった様子があれば、すぐに動画を撮影して小児科を受診してください。

5. まとめ:モロー反射は「今だけの特別なメッセージ」
モロー反射は、赤ちゃんが一生懸命に外の世界に適応しようとしている、健やかな生命力の現れです。
・「びくっ」とするのは脳が育っている証拠。
・生後4ヶ月頃には自然に落ち着く。
・寝ないときは、おくるみや環境づくりで優しくサポート。
夜泣きや寝不足が続くと、パパやママの心も折れそうになるかもしれません。けれど、この不思議な動きが見られるのは、長い人生のなかのほんの数ヶ月間だけです。
「今日も元気に反応しているね」と、少しだけ余裕を持って見守ってあげてください。赤ちゃんの心と体は、その「びくっ」の積み重ねの先に、確かな自立の一歩を準備しています。
訪問看護ステーションリスタでは産後うつなどの症状や、小児精神など子どもたちの症状にも対応しています。
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