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起立性調節障害で苦しむ子どもと家族へ。

2026.05.25

起立性調節障害で苦しむ子どもと家族へ。「怠けている」のではなく、自律神経のサインです

朝、何度声をかけてもお子さんが起きてこない。揺り起こすと顔色は真っ青で、立ち上がろうとするとめまいでふらついてしまう。それなのに、午後になると少しずつ元気を取り戻し、夜にはふつうに会話ができる。そんなお子さんの姿を見て、つい口にしてしまいそうになる言葉があるかもしれません。

「気合いが足りないんじゃない?」「ただ甘えているだけでは?」

そう思ってしまう自分にも嫌気がさして、夜にひとりでため息をついている親御さんもいらっしゃるのではないでしょうか。そして当のお子さんも、誰よりも「行きたいのに行けない」自分を責めているのかもしれません。

あなたのお子さんは怠けているのではありません。それは、思春期の体に起きている自律神経の不調、起立性調節障害のサインかもしれないのです。この記事では、お子さんの体の中で何が起きているのか、ご家族としてどう寄り添えばいいのか、そして訪問看護がどんな形でご家庭の力になれるのかを、ゆっくりお伝えしていきます。

1. 起立性調節障害ってなに?朝起きられない本当の理由

起立性調節障害は、思春期の子どもに多くみられる自律神経の不調です。立ち上がったときに、本来であれば下半身の血管が縮んで脳に血液を届けてくれるはずなのに、その仕組みがうまく働かず、脳への血流が一時的に足りなくなってしまう状態を指します。

小学校高学年から中学生にかけての時期は、体が大人へと一気に変化していく季節です。背が伸び、ホルモンが揺れ動き、自律神経もその急ピッチな変化に追いつけなくなることがあります。朝起きられないのは、お子さんの心が弱いからでも怠けているからでもなく、体の中で本当に血流が追いついていないからなのです。

体に表れる代表的なサイン

起立性調節障害には、お子さんによってさまざまなサインがあります。ご家庭で気づきやすい代表的なものをまとめました。

こんなサインはありませんか

  • 🌧️ 朝なかなか起きられず、午前中はぐったりしている
  • 🌧️ 立ちくらみやめまい、動悸を訴える
  • 🌧️ 顔色が青白く、食欲がない
  • 🌧️ 頭痛や腹痛、倦怠感を繰り返す
  • 🌧️ 午後から夕方にかけて元気が戻ってくる

これらが3つ以上あてはまるとき、あるいは2つでも症状が強いときには、起立性調節障害の可能性を考えてみてもよいかもしれません。気になる症状があれば、まずは小児科でご相談いただくのがいちばんの近道です。

2. 学校に行けない子どもと、焦る親御さんの気持ち

不登校のお子さんのうち、3割から4割に起立性調節障害が併存するともいわれています。お子さんは「学校に行きたくない」のではなく、行きたくても体が動かないという状態にあるのです。それでも、休みが続けば「同級生から取り残されてしまうのでは」「将来どうなるのだろう」と、お子さん自身が誰よりも不安を抱え込んでしまいます。

そばで見守っている親御さんの胸の内も、複雑な思いでいっぱいではないでしょうか。心配で胸が痛むのに、つい強い口調になってしまう。優しくしたいのに、自分にも余裕がない。その葛藤は、あなたが我が子を真剣に想っているからこそ生まれるものです。

お子さんを責める言葉が出そうになるとき、それはあなた自身が限界に近づいているサインかもしれません。親御さんもどうか、自分を責めないでくださいね。

親御さん自身も限界に近づいていませんか

毎朝起こす役を担い、学校への連絡を入れ、仕事との両立に頭を悩ませる。さらに祖父母や周囲から「もっと厳しくしないと」と言われ、ますます孤立してしまう親御さんは少なくありません。お子さんの体調が一進一退を繰り返す中で、親御さんの心も同じように揺れ動きます。

どうか、つらい気持ちはひとりで抱え込まないでください。お子さんを支えるためにも、親御さん自身が安心して話せる場所を持つことは、とても大切なことなのです。

3. 家庭でできる小さな工夫と生活リズムの整え方

起立性調節障害は、薬だけで一気によくなる病気ではありません。日々の小さな積み重ねが、少しずつ自律神経を整えていきます。一気に頑張ろうとせず、できそうなことを一つずつ試してみてください。

家庭で意識したい毎日のケア

  • 🌿 水分は1日1.5〜2リットルを目安にこまめに摂る
  • 🌿 塩分は普段の食事に少し多めを意識する
  • 🌿 立ち上がるときは頭を下げてゆっくりと
  • 🌿 毎日30分程度の歩行で下半身の筋力を保つ
  • 🌿 寝る前のスマホは控えめにして就寝時間を守る

焦らず続けられる、毎日の小さな積み重ね

回復には数か月から、長いお子さんでは数年かかることもあります。早く治ってほしい気持ちが強いほど、結果が出ない日々が苦しくなります。けれど、回復はジグザグの道のりです。昨日できたことが今日できなくても、それは後退ではなく、自然な揺れ動きです。

「今日は朝、自分から水を飲めたね」「夕方、少し外の空気を吸えたね」。小さな一歩を見つけて言葉にすることは、お子さんの心を温め、親御さんご自身の心もそっと支えてくれます。

4. 訪問看護がご家庭にできること

起立性調節障害のお子さんは、外出そのものが大きな負担になります。病院の待合室で長時間立っているだけでめまいがしてしまい、結局通院が続かなくなるご家庭も少なくありません。そんなときに頼っていただきたいのが、看護師がご自宅へ伺う訪問看護です。

リスタの訪問看護でできること

  • 🌱 血圧や脈拍をご自宅で丁寧にチェックし、体調の変化を見守る
  • 🌱 起き上がり方や水分・塩分の取り方を一緒に練習する
  • 🌱 主治医や学校と連携し、お子さんの状況を正確に伝える
  • 🌱 不安や落ち込みなど、お子さんの心の揺れにも寄り添う
  • 🌱 親御さまが安心して相談できる時間を確保する

親御さんの相談先としての訪問看護

訪問看護は、お子さまだけでなくご家族全体を支える仕組みです。お子さまへの声かけに迷ったとき、夫婦で意見が食い違ってしまったとき、学校との関わりに悩んだとき、看護師にゆっくり話していただいて構いません。

🌈 一人で抱えこまなくていい

親御さんが安心していられることが、お子さまの一番の薬になります。リスタの看護師は、ご家庭の中の小さな変化に気づき、ご家族みんなが少しずつ笑顔になれる時間を一緒につくっていきます。

5. まとめ

起立性調節障害は、思春期のお子さんの体に起きている自律神経の揺れです。怠けでも甘えでもなく、誰よりも本人がつらさを感じている病気です。そして、そのそばで毎日支えている親御さんもまた、たくさんの不安を抱えていらっしゃいます。

お子さんが学校に行けない日があっても、それは「人生に行けない」という意味ではありません。体が整うのを待ちながら、ご家族がお子さんの安全基地でいられること。それが何よりの治療になります。

訪問看護ステーションリスタでは、精神科に特化した看護師が在籍し、一人ひとりの状況に合わせたケアや支援を行っています。少しでも気がかりなことや不安があれば、いつでもお声がけください。

📚 参考資料

  • 一般社団法人 日本小児心身医学会「起立性調節障害(OD)」詳細はこちら
  • 社会福祉法人 恩賜財団 済生会「起立性調節障害とは」詳細はこちら
  • 日本大学医学部附属板橋病院「起立性調節障害(小児科新生児科)」詳細はこちら
  • 済生会「子どもに起こりやすい起立性調節障害」(2016年)詳細はこちら

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